養生訓 ~貝原益軒
江戸前期の儒学者、福岡藩士の書いた心身の健康を保つための「養生の術」。
飲食を少なくし、色欲を慎み、精気を惜しみ、怒り・哀しみ・憂い・思いの度を越さないこと。心に波風を立てず、気を和ませ、言葉を少なくし、無用のことはやらない。
飲食や色欲を慎むということはよく知っているが、現実には慎みがたく、欲のおもむくままに行動してしまう。これは「無知」と同等。水に落ちれば溺死する。火中に飛び込めば焼死する。そういうことは誰でも知っているから水や火に飛び込む人はいない。だから、「無知」ということになる。無知だから、欲に突き動かされて慎み抑えることを忘れる。
自分の小さな欲が抑えられないのに、人を治めさらに、人心をつかむことはできない。
そもそも「その行動」が「自分の欲に端を発している」と気づくことができない。その「見識」がないから、毎日の「反省:今日一日を振り返る」で自分の心を高めることが必要なのだ。
基本的な健康に関する内容だったが、シンプルに頷けた。初歩的な欲求が抑えられないのに、人や組織は変えることはできない。もちろん自分も変わらない。自己犠牲があって初めて別のことが建っていくのだ。これが「知識」→「見識」に変わることなのだろう。
週末に一気に読んだ本でした。