同情が礼儀ではない ~中村天風講演録
病気を心配している者、或いは運命に泣いている者、恋に悩んでいるものがいると、
そこに行って、理由のない相槌を打つことによって
何か人間としての、お互いの交わりに対する義務のようなものを感じる人がある。
しかし、それは全く毒汁を 浴びせかけていることとおんなじなんですよ。
本人の運命に対して、本当の真心から 目を覚まさせてやる努力をする人こそ 尊い存在なんです
病や不運に脅かされたとき、これを克服するのに何よりも必要なものは、心の力である。
その心の力なるものが、ひとえに元気であるという心の態度、言い換えれば精神生活態度が積極的である場合にのみ、
如実に渙発されるという厳格な宇宙心理が存在する。
真の同情ある言動とは、必ずその人に善導的結果を与える者でなければならない。
その心を力強く元気づけて、まずストレス状態から救い出してやることである。
それは、何をおいても、消沈した意気=落ちている元気を 引き立てるための鼓舞と奨励とを現実にするような言動を必要とする。
但し、その場合、くれぐれも注意しなければならないことは、
常に深切に、すなわち深い思いやりで接する心を基本とすることである。
出典:R2.8.31受信 中村天風 一日一話より 中村天風講演録より