まず自分を批判するべし

「人のふり見てわがふりなおせ」ということわざがあるが、

他人の言葉や行為をやたらと批判する人というのは、人のふりにわがふりを正しく照合して、　わがふりを是正しようとはしないで、ただ評論批判するだけでなのであるから、その批判からは少しも価値あるものを自分の心に感じ取れない。

みだりに他人を批判することが主になって少しも自己査察しないために、人生に何よりも大切な自分自身の統御ということに、少しの進歩も向上も現れてこない。

大切なのは、他人のあらや欠点を詮索することをやめて、自分のあらや欠点を厳しく反省することである。

ダメなところがあるなら、こうすればいいと分かっているなら、評論批判に止まらずに、自分で動けばいいと思う。わかっているんだから、それが一番手っ取り早い。それを意見評論して「自分の考えは正しいだろう」としても何も変わらず、何も始まらない。自分は当事者でない、自分にはできない、範疇外のこととがやれない理由なら、評論しなくてもいいのではないか。

中村天風　天風メルマガ「まず自分を批判するべし」より一部抜粋